「ゆゆしい音色」8:指さすほうへ【同人小説】

6月13日。 M警察署で一番小さな会議室。折りたたみ式の机が縦に3列並び、午前9時の今にも雨の降りそうな空、東側の壁の窓を遮るサッシ越しに曇り空から強めの紫外線が差し込む。ホワイトボードの前に立った甲斐という刑事はまだ40になったばかり。くるくると癖のついた髪、M字に禿げ上がった額、鼻筋は彫刻のように険し…