鬼と犬

「桃太郎さん、桃太郎さん」 僕は居酒屋の二人席の片側に座った、見覚えのある大きな背中に声をかけた。 すると声に反応したその背中がゆっくりと回転し、見知った顔がこちらを向いた。 酔いが回っているのか、赤い顔に半開きの目だが、その顔は間違いなく僕の知る桃太郎だった。 「あー、こりゃあ珍しい奴が来た。元気だ…