お題「マイブーム」
マイブーム
こんばんは。あかごひねひねです。「お題スロット」なるものがあったので、回してみると「マイブーム」が出ました。
みうらじゅん氏を敬愛してやまない僕が、このお題で書かないわけにはいきません。
なんといっても「マイブーム」はみうらじゅん氏の造語なのです。
「ローマ人の物語」
はてさて。僕が今、マイブームといえるものは何でしょう。
本でいえば、塩野七生さんの「ローマ人の物語」シリーズを読んでいます。
しかし、これは「今」のマイブームというよりは、結構前からチビチビ読んでいるが一向に終わらない、といった方が正しいかもしれません。
なんといってもローマ帝国の誕生から滅亡までを全て書くという壮大なシリーズ。本人だって全部書くのに14年かかっています。ハードカバー版で15巻。文庫版だとそれが分割されて驚きの43巻。なんかもう笑ってしまう。
現在、僕は文庫版の25巻を読んでいますが、やっと五賢帝の3人目、ハドリアヌスが出てきたところです。
最近読んだ部分で面白かったのは、暴君ネロのくだりでしょうか。
このネロ帝、もし現代に生まれていたら絶対にニコニコで歌い手とか生主とかやってると思う。
ギリシア文化が大好きで賢いし教養もあるんだけど、とにかく出たがり。本場ギリシアに自分の弾き語りの腕試しに行ったり、元老院集めてその腕前を披露したり。しかし、その俗っぽさと承認欲求がむしろ親近感が持てる部分であったりします。
このネロつながりで面白かったエピソードが、ネロが母親のアグリッピーナを殺そうとする場面。
ネロはこの母親の名誉欲と計画によって皇帝になれたのですが、次第に干渉を続ける母に対して反抗し、敵対するようになったのです。
彼は、ワザと沈没するように細工した舟に母親を乗せ、溺死させようと目論みます。
しかし、思わぬことが起きました。
母親のアグリッピーナはかつて、権力闘争のとばっちりで離島に流されていた時期があったのですが、なんとその時に彼女は、流された島で泳ぎの達人になっていたのです。
アグリッピーナは沈没する舟から単身脱出。そのまま悠々と海を泳ぎ、無事生還してしまうというエピソードです。
その部分を引用します。
舟は、予定通りに沈没したのである。ただ、アグリッピーナが予定通りに溺れてくれなかったのだ。
アグリッピーナはカリグラ帝時代にヴェントーテネ島に流されていた一年間で、泳ぎの達人に一変していたのである。
(中略)
星が輝く紺青の夜空の下を、皇帝の母は抜き手もあざやかに泳いだのにちがいない。夜の漁に出ていた漁夫の舟に拾いあげられたときも、声一つ乱さず、皇帝の母であることを告げ、舟を浜に着けるように命じたという。
もはやコントのネタじゃないですか。だいたい「星が輝く紺青の夜空の下」という表現とか、書いてる塩野さんも完全にこっちを笑わせにきてるとしか思えないし。
とまあ、僕はこんな感じで毎日チビチビとローマに思いを馳せています。
ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/06/01
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 114回
- この商品を含むブログ (260件) を見る