新連載「ゆゆしい音色」①【同人小説】

「それ、殺すの?」 声のするほうに視線を向ける。台所で夕食ができあがるのを待ちながら僕の手を見る妻の眼を見る。それから自分の結んだ手を開き、中のティッシュにくるまれたさっきまで蜘蛛だったものを見る。8本の脚をすべてばらばらにされたあとぐちゃぐちゃに潰れて跡形もない。いつもこういうふうに平気で虫を殺し…