あかさか対談「桃太郎を深読みする」1(あかごひねひね&さかごくるくる)
あか:あかごひねひね
さか:さかごくるくる
〜脳内某所、おしゃれなカフェにて〜
あか「と、いうわけでね。桃太郎を深読みしてみようと思って」
さか「唐突だね」
あか「まね。でもほら、言うじゃん。えーっと。あの、何かほら、恋とか。「唐突」にって」
さか「例がざっくりしすぎだろ」
あか「そりゃあもう。僕はざっくりしてますよ。ざっくりジャパンですよ」
さか「下らねえし古いんだよ。ザックもう日本代表監督じゃねえよ」
あか「あっはっは。はい。オモシロオモシロ。ごめん、せっかくの面白トーク中だけど桃太郎の話はじめていい?」
さか「おいコラ何だオモシロオモシロって。その、はいはい、っていなす感じ。そもそもお前が下らないこと言い出したんだぞ」
あか「下らないこと?」
さか「だから、ざっくりジャパンとかさ」
あか「あっはっは。はい。オモシロオモシロ。えーっと、桃太郎って話の始まりはさ」
さか「やめろっつってんだろ。別にオモシロくねーよ。だいたい俺のギャグじゃねーんだよ。お前が言ったの。ざっくりジャパンって。お前のギャグ。お前の事故。何で俺に気をつかって笑ったみたいになってんの?」
あか「てかザックもう日本代表監督じゃねーし」
さか「それ、それ俺が言ったやつ。そっちが俺の。理知的な方のセリフが俺のやつ」
あか「まじで桃太郎の話していいっすか?」
さか「いいよ。俺は最初からそれを望んでるよ。さっさと始めろよ」
あか「まずね、俺が引っかかったのは、この部分。「昔々、あるところに」」
さか「死ぬほど序盤じゃねーか。まだどの昔話とも差別化できてないよ」
あか「人の世に熱あれ 人間に光あれ」
さか「水平社宣言はいいんだよ。差別ってその差別の話はしてねーよ。何がひっかかるんだよ」
あか「「あるところに」って、何があるんだろう?」
さか「?」
あか「だから、「あるところに」の主語がないんだよ。何があるかが分からない」
さか「いやだから、おじいさんとおばあさんが住んでるんでしょう?」
あか「じゃあ、最初から「昔々、おじいさんとおばあさんがいました」でいいじゃん。違うんだよ。何かがあるんだよ。それを隠してるんだよ」
さか「隠してる?」
あか「隠してるでしょ完全に。ブツの名を伏せてさ」
さか「ブツて」
あか「でね、考えてみた。おじいさんとおばあさんの住んでいる近くにあって、その存在を隠蔽されているものとは何か。そしてある答えにたどり着いたんだ」
さか「ほう」
あか「ヒントとなったのは、おばあさんが川で洗濯をする場面。その時、川上から大きな桃が流れてきて、しかもおばあさんが持ち帰って包丁を入れると中から人間の赤ん坊が出てくる。これは明らかに、生物学的にいびつな状況だ」
さか「そうだけどさ、そこつっこんだらお話成立しないよ?」
あか「あるのに、その名を伏せられる。そして周囲で起こる不可解な生物の突然変異。そこで俺はピンときた。本来、この物語の始まりはきっとこうだったんだ。『昔々、近くに核実験場があるところに』」
さか「なんちゅう夢の無い想像してんだよ」
あか「しかし政府の意向でその部分は削除され、編集部のメンバーはその後次々と不可解な死を」
さか「そこまでいくと深読みじゃなくて妄想だよね?」
あか「おじいさんとおばあさんが近くに住んでいた理由もこれで説明できる。2人は老齢でどうせ放射能の影響が出始める前に死ぬから、周囲の環境調査員として、実験所の特に近くに2人だけで住んでいたんだ」
さか「絶妙にリアルな理由だな」
あか「で、そういうわけで、これで桃太郎誕生の秘密まで一気に解明出来たわけだ。桃太郎は桃から産まれた心優しい科学の子。十万馬力の鉄腕だったわけだ」
さか「鉄腕アトムと原子力を関連させるのやめたげなさいって。あの頃は夢のエネルギーだったんだよ」
あか「ウランちゃーん!!!!」
さか「やめたげなさいって。アトムの妹の名前がそのものズバリ核燃料なの触れるのやめたげなさいって」
あか「そして月日が流れ、桃太郎はついに鬼退治に出ることになるわけだ」
(つづく)