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飄々舎

京都で活動する創作集団・飄々舎のブログです。記事や作品を発表し、オススメの本、テレビ、舞台なども紹介していきます。メンバーはあかごひねひね、鯖ゼリー、玉木青、ひつじのあゆみ。

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ブックトーク大喜利最終回【「よまいでか」始動記念読書放談 その4】

  この記事は以下の記事の続きです。

hyohyosya.hatenablog.com

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かみ:収集つかないから次ラストにしよう

あか:いいですよ

かみ:最後のお題は二人で作ろうよ。「〜の〜が〜な小説」

あか:じゃあまずかみしのさんから

かみ:え〜、「27才の」

あか:「27才の」?えー、「郵便局員が」

かみ:「27才の郵便局員が」?……「朝起きると」

あか:まだ続くんすか(笑)えー……「虫になっていた」?

かみ:いやもうそれ一つしかないから!!(笑)

あか:あはははは、無し無し。えーっとえーっと、……「急遽、今日は仕事が休みになったと気づいた」

かみ:……ような小説!!

あか:(笑)

かみ:「27才の郵便局員が朝起きると急遽今日は仕事が休みになったと気づいた」ような小説。範囲が広いなぁ。まず男か女かの問題があるよね

あか:あ、そうか。僕は完全に女のつもりでした。男もいますね。

かみ:これめっちゃ難しいんだけど

(しばし熟考)

あか:よし

かみ:決まった?

あか:来た

かみ:じゃあ、まずは先どうぞ

あか:米澤穂信の古典部シリーズ『遠回りする雛』で

 遠まわりする雛 (角川文庫)

 

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かみ:ほほう。その意図は?

あか:まず27才の郵便局員。僕は女性で考えました。ここから読みとれるのは、日常的で平凡であること。さらに若すぎず、瑞々しさを持ちながらもそろそろ落ち着き始めている。そして朝起きて初めて「あ、今日休みだ」と気づいた。この宙ぶらりん感。『遠回りする雛』は短編集なんですよね。それも今までの長編の合間合間のショートストーリーを集めたやつなんですよ。それが僕の中では、一日仕事でがっつり詰まるんじゃなくて、ふっと仕事が休みになった、そのふわっとした感覚に重なるところがあって。あと短編集なので大きな話が無いんですよ。古典部シリーズはもともと日常の謎を明らかにするタイプのミステリーなんですけど、学園祭とか自主製作映画とか部誌の作成とか、そういうテーマ性のある場面設定すらない。そういう、本当に平凡な、日常の些細な部分を描いているというところで「郵便局員感」あるなと。「27才の郵便局員感」あるなと。というっわけで、古典部シリーズでもあえて長編ではなく短編集の『遠回りする雛』を選びました

かみ:なるほどね。『九マイルには遠すぎる』をやっているような気分だね(笑)「九マイルには遠すぎる」という一言から推理していくという。僕はね……菅原孝標女の「更級日記」ですよ

 

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

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更級日記―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

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あか:おおっ!ちょっと、古典来たよ(笑)

かみ:まあ、同じ様なアプローチで「27才」。これはまあ、いわゆる現実見なきゃいけない年になってくる

あか:ああ、同じだね

かみ:だからまあ、夢ばかり見てはいられない。でも一方で夢を見ていたい若さでもあるわけ。僕も女の子で考えたんだけどいわゆる結婚適齢期とかね。続いて「郵便局員」。郵便局っていったいどういう仕事なの?手紙を配達する仕事だ。じゃあ手紙ってなんだろう。それは書いた人の物語だ。要するに、郵便局員とは物語を伝達するような役割ですよ。

あか:はー、なるほどね

かみ:でも手紙には、出しても届かないかもしれないという不安がある。東浩紀的な

あか:お、郵便論

かみ:そう

あか:誤配!

 

存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて

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かみ:そしてそこにはどんな手紙があるか分からない。例えば夢を賭けたような原稿を送ってるかも知れない。ラブレターかも知れない。裁判関係の憎しみのこもった手紙かも知れない。数々の物語を背負い、伝達しているのが郵便局員だ。そんな郵便局員の「休み」。物語と物語の間に挟まれた、「宙ぶらりん」って言葉がさっきあったけど、この感覚が菅原孝標女にぴったりだなって。源氏物語が好きで、好きで好きでたまらなくて京都に行こうと思った女の子。でも、年を重ねると気付いちゃうんだね。光源氏みたいな男はこの世にいないって。物語は所詮物語だ。こんな世界、いっそ物語なんか読まずに、仏教修行だけしときゃよかった、と後悔する。さっきの話でいうと、物語から一度離れるような心境の中書かれている。もちろん27才で書いた小説じゃないんだけど、その宙ぶらりん感ってやっぱりあって。でも郵便局員の性というか、物語を伝えるという仕事はあるわけで、結局更級日記書いた後も彼女は「浜松中納言物語」ってのを書いて

あか:あー、やっぱり書いちゃうんだ

かみ:そう。あきらめきれない文学少女で。で、その浜松中納言物語を下敷きにして小説を作り上げたのが三島由紀夫

あか:そうなんですか?

かみ:三島由紀夫が一番最後に書いた小説が浜松中納言物語をもとにしてて、源氏物語から菅原孝標女、更級日記を通って最後は三島由紀夫まで行って、っていう。この物語が連なっているところが正に「27才の郵便局員が朝起きたら今日は急遽仕事が休みになったことに気付いた」っぽい

あか:いやあ、いいねえ(笑)。古典出てくるかぁ

かみ:「やったった」感(笑)

あか:教養がものを言うなあ。この企画おもしろかったなあ。ちゃんと紹介になるしね。

かみ:次は本棚とか見ながらやったらもっとおもしろいかもね

あか:絶対いい。以外と浮かばないんだよ

かみ:では、次回を楽しみに、ということで

 

つづく?

 

浜松中納言物語 (新編日本古典文学全集)

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 春の雪―豊饒の海・第一巻 (新潮文庫)

 

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