飄々舎

京都で活動する創作集団・飄々舎のブログです。記事や作品を発表し、オススメの本、テレビ、舞台なども紹介していきます。メンバーはあかごひねひね、鯖ゼリー、玉木青、ひつじのあゆみ。

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かばんさんを待ちながら➄

①はこちら

hyohyosya.hatenablog.com

 

かばんさんを待ちながら➄

 

長い沈黙

 

アライさん「でも、前もってそれが分かっていれば」

フェネック「がまんできるよー」

アライさん「どう考えればいいのかは分かっているのだ」

フェネック「何も心配することはないさー」

アライさん「待ってさえいればいいのだ」

フェネック「私たち、待つのは慣れてるしねー」

プリンセス「どうだったかしら今の?よかった?中くらいかしら?まあまあ?とるにたらない?それとも全然くだらない?」

フェネック「えっ、あ、とってもよかったよー」

プリンセス「あなたはどうだった?」

アライさん「(アルパカの口調で)とっっっってぇええもお、よかったよおお」

プリンセス「ありがとう。元気づけてくれる人がいないとやってられないから。後半、少し弱くなっちゃったけど。気づいてた?」

フェネック「そういえばそうだったかもー」

アライさん「あれはわざとやったんじゃないのか?」

 

沈黙

 

アライさん「ところで、何も起こらないのだ」

プリンセス「退屈でしょう?」

アライさん「退屈なのだ」

プリンセス「あなたはどうかしら?」

フェネック「まあまあだねー」

 

沈黙。プリンセスは内面の闘争に身をまかす。

 

プリンセス「あなたたちはわたしに対して……とても……えっと……丁重だったわ」

アライさん「どういたしましてなのだ!」

フェネック「そんな、いうほどでもないよー」

プリンセス「いえ、いうほどのことよ。どちらもとても礼儀正しい。そこで、考えたんだけど、この退屈しているフレンズにいったい、わたしは何をしてあげられるかしら」

アライさん「ジャパリまん100こで手を打つのだ」

フェネック「アライさんやめなよー」

プリンセス「わたしが考えているのは、そこ。何ができるかしら。時間がたつのが少しでも遅いと感じさせてあげるために。わたしはジャパリまんのふくろもあげたわ。あれこれと話もした。夕暮れの説明もしてあげた。それは確かよ。でも、それはそれとして、これで十分なのかしら。わたしが苦しんでいるのはここ。果たして、これで十分かしら」

アライさん「ジャパリまん10こでもいいのだ」

フェネック「アライさん、やめなってばー」

アライさん「うう、分かったのだ」

プリンセス「十分かしら。そうかもしれないわ。でも寛大なのがわたしの生まれつきなの。今日は思いきって……」

 

プリンセス、コウテイとフルルの綱を引く。二人はプリンセスの方を見る。

 

プリンセス「何もしないと後で悔やむに決まってるわ。どっちがいい?踊らせるのと、歌わせるのと。それとも、朗読かしら。ものを考えさせることもできるし……」

アライさん「誰にさせるのだ?」

プリンセス「誰にですって?じゃあ、あなたたち、ものを考えることなんてできるのかしら?」

フェネック「このフレンズは考えるってわけー?」

プリンセス「立派に。それも大きな声でね。昔はなかなか綺麗に考えたもので、わたしは何時間聞いても飽きなかったんだけど、今じゃ……。まあ、それも仕方がないわ。それで、どう、なにか、考えさせてみる?」

アライさん「アライさんは踊ってもらった方がいいのだ。そっちの方がたのしいのだ」

フェネック「そうかなー」

アライさん「そうなのだ。そのほうがにぎやかなのだ!」

フェネック「わたしは、考えてることを聞いてみたいよー」

アライさん「まず踊って、それから考えてもらうこともできるかもしれないのだ」

フェネック「それってできるのー?」

プリンセス「もちろんよ。だいいち、それがものの順序ってものよね。ふふっ」

フェネック「じゃあ、踊ってもらおうー」

 

沈黙

 

プリンセス「コウテイ、わかった?」

アライさん「イヤだって言うことはないのか?」

プリンセス「それは後で説明してあげるわ。踊りなさい!ドスケベペンギン!」

 

コウテイはトランクとバスケットを置いて、やや舞台前面へ進んで、プリンセスの方を向く。

アライさんは、よく見ようと立ち上がる。

コウテイは少し踊り、やがてやめる。

 

アライさん「……これだけか?」

プリンセス「もっとよ!!」

 

コウテイはさっきと同じ動きを繰り返して、やがてやめる。

 

アライさん「何なのだ!何なのだ!あれなら少し練習すればアライさんにだってできるのだ」

フェネック「あの子はくたびれてるんだよー」

プリンセス「昔はよく踊ったのよ。「ようこそ!ジャパリパークへ」も「僕のフレンド」も「大空ドリーマー」も。よく跳ねたものよ。でも今じゃ、できるのはこれだけ。なんて名をつけているか知ってる?この踊りに」

アライさん「岩に潰されたセルリアンの踊り」

フェネック「サンドスター切れで死にかけフレンズの踊り」

プリンセス「網の踊りよ。当人はあれで、網の上でばたばたやっているつもりよ」

フェネック「そう言われてみると確かに……こう……」

 

コウテイ、荷物の方に行こうとする。

 

プリンセス「ウォーーーーー!!!!!」

 

コウテイ、硬直する

 

アライさん「いやだって言うことはないのか?」

プリンセス「説明するわ……あれ、おかしいわね……どうしよう!吸引機をなくしてしまったわ!」

アライさん「左の肺はすっかりやられているのだ……ゴホゴホ……でも、右の肺は完全なのだ!!」

プリンセス「しかたないわね。なしですましましょう。何を言ってたかしら。えーっと……。待って!待って!……えーっと……手伝ってくれない?」

アライさん「アライさんも考えてるのだ」

フェネック「わたしも考えてるんだけどねー」

プリンセス「待って待って!」

 

三人とも片手を額に当て、もう片手で自分のリボンをほどいていじりながら精神を集中する。身じろぎもしない。長い沈黙。

 

アライさん「ああ!」

フェネック「みつけたようだねー」

プリンセス「で、なんだったの?」

アライさん「なぜあの人は荷物を置かないか、なのだ!」

フェネック「ちがうよアライさーん」

プリンセス「違うの?確かに?」

フェネック「だってそれはもう説明してくれたじゃないかー」

アライさん「説明してくれたのか?」

フェネック「だいいち、もう荷物を持ってないよー」

アライさん「本当なのだ。でも、それがどうしたのだ?」

フェネック「持ってないんだからなぜ持ってるかって聞くわけにはいかないよー」

プリンセス「確固たる推論ね!」

アライさん「じゃあ、なぜ置いたのだ?」

プリンセス「そこよ」

フェネック「踊るためだよー」

アライさん「ああ、そうだったのだ」

プリンセス「ちょっとまった!黙って!そうよ(リボンを結んで)わかったわ」

 

アライさんとフェネックも自分のリボンを結ぶ

 

フェネック「見つけたねー」

プリンセス「じつは、こうだったの」

アライさん「どうだったのだ?」

プリンセス「いまにわかるわ。でも、ちょっと言いにくいわね」

フェネック「じゃあ、いわないでおくのがいいよー」

プリンセス「いや、心配しなくてもいいわ。なんとかやってみるから。でも、ごく簡単に言いたいわね。なにしろもう遅いから。簡単に、しかも明瞭に、これが簡単じゃないのよ。ちょっと考えさせてもらうわ」

アライさん「ゆっくり考えた方がいいのだ。その方がかえって早いのだ」

プリンセス「……これでいいと思うわ。なにごとも二つに一つよ」

アライさん「キチガイざたが始まったのだ」

プリンセス「あの子に何か言いつけるわ。たとえば踊るとか、歌うとか、考えるとか……」

フェネック「うん。わかるよー」

プリンセス「そうじゃなければ。何も言いつけない。ということよ。いいわ。そこで、いや、話のじゃまをしてはいけないわね。そこで何かあの子に言いつけたとするわ。たとえば……そう……踊りなさい、と。すると、どうなるかしら?」

 

アライさん、口笛をふきはじめる

 

プリンセス「(怒って)もう話さないわ」

フェネック「どうぞ、続けておくれー」

プリンセス「話のじゃまばかりするじゃない、あなたたち」

フェネック「続けて続けて。とてもおもしろいよー」

プリンセス「もう少し熱心に」

アライさん「(手を合わせて)お願いなのだ!お物語をどうかお続けくださいなのだ!」

プリンセス「どこだったかしら?」

フェネック「あのフレンズに踊れと言いつける」

アライさん「それから歌えって」

プリンセス「そうよ。歌えと言う。するとどうなるかしら?言いつけたとおりに歌うか。あるいは、言いつけたとおりに歌う代わりに、たとえば、怒りだすか、あるいは考えだすか、あるいは……」

フェネック「わかったから「たとえば」、はとばしていいよー」

アライさん「もうたくさんなのだ!」

フェネック「でもあの子、今日あなたが命令したことはみんなしてるけどねー」

プリンセス「それはわたしの同情を引くためよ。追い出されないためよ」

アライさん「ありゃあ、みんな嘘っぱちなのだ」

フェネック「そうともかぎらないよー」

アライさん「すぐに、今言ったことにほんとうのことは一つもないって言いだすのだ」

フェネック「……反論しないのかいー?」

プリンセス「わたしは疲れたわ」

 

沈黙

 

アライさん「なんにも起こらないのだ、だあれもこないのだ、だあれも行かないのだ、全くたまらないのだ」

フェネック「考えるようにいいつけてみてよー」

プリンセス「フルルのリボンを結んであげて」

フェネック「リボン?」

プリンセス「あの子はリボンなしでは考えられないの」

フェネック「結んでやりなよ」

アライさん「アライさんが!?あんなにひどい目にあわされた後なのだ!まっぴらなのだ!」

フェネック「じゃあわたしが結んであげるよー」

アライさん「自分で結べばいいのだ!」

プリンセス「結んであげたほうがいいわ」

フェネック「結んであげようー」

 

フェネック、できるだけ手を伸ばして、フルルのリボンを結ぶ。

フルル、動かない

 

フルル「ふるるー」

プリンセス「左右を整えてあげて」

アライさん「自分でなおすように言いつければいいのだ」

プリンセス「やってあげたほうがいいわ」

フェネック「整えてあげようー」

 

フェネック、フルルのリボンを整え、さっと手を引っ込める。

 

アライさん「さあ、はやくやってもらいたいのだ」

プリンセス「少し隠れて」

 

アライさんとフェネックは少し遠ざかる。

プリンセス、縄を引く。

 

プリンセス「考えなさい!」

 

コウテイが踊り始める。

 

プリンセス「あなたじゃないわ!ドスケベペンギン!ストップ!フルル、前進!考えなさい!」

フルル「ふるるーふるるーふるるー」

プリンセス「やめなさい!前進!……そこよ!さあ、考えなさい!」

 

フルルの持っているラッキービーストが話し始める。

 

ラッキー「前提として、塚田虫治と森石章ノ助の最近のクリエイションによって提起された白い髭の人格的かかかか神の時かか間と空間の外における存在を認めるならばその神的無感覚その神的無感覚その神的失語症の高みからやがてわかるであろうがなぜかわからぬ多少の例外を除いてまさに我々を愛し神的レイ・綾波のごとくやがてわかるであろうがなぜわからぬ苦しみの中に火の中にある人々とともに苦悩しそしてその火その炎がたとえわずかでももう少し続くならばそして何人もそれに疑いをさしはさみ得ずついには天の梁に火をつけるであろうつまり地獄を焼く火は今日なお残酷な天使のように時に断続的でありながらしかもなお歓迎すべきである静けさをもってかくも静かなる天上に至るが即断すべきでないであって他方珍崎と萬田の未完成なしかしジャパリパークのヤバンナちほーのフレンズそくそく測定学アカカカカデミー賞を得た研究の結果としてフレンズの行う計算につきまとう誤謬の可能性を除けば決定的に証明されたのは珍崎と萬田の未完成未完成の研究の結果として証明明明されたのは以下の以下のつまりなぜかわからぬが即断すべきでないのであって塚田虫治と森石章ノ助のクリエイションの結果同様に明確にかくも明瞭になったのは尻屁島と嘔吐川の労作に照らして未完成未完成なぜかわからぬ珍崎と萬田未完成未完成現れるのはすなわちフレンズは反対意見に反してフレンズはジャパリパークの珍崎と萬田のフレンズは結局要約すれば要約されたフレンズは結局栄養と廃物除去の進歩にもかかわらず痩せつつあり同時に平行的になぜかわからぬが肉体訓練の発達スポーツの実施にもかかわらず例えば例えば狩りごっこ競争かけっこ競争水泳穴掘り飛行狩りごっこスポーツ飛行スポーツ冬のスポーツ夏の秋の狩りごっこ観覧車狩りごっこ草原の密林のセルリアンの飛行狩りごっこ地上かけっこ空中サンドスターとその代用薬品要するに繰り返せば同時に平行的になぜかわからぬが矮小化し繰り返せば狩りごっこ飛行ゴールが3つある球蹴りあるいはゴールが8つある球蹴り氷上狩りごっこにもかかわらず要するになぜかわからぬがジャパリパークジョポリパークジュプリパークジュプリジャプリにおいてつまり同時に平行的になぜかわからぬが痩せ細り繰り返せばジャプリジュプリ要するにたつき監督の死以来ニコニコちほーにおいては一人頭の丸損分が裸で目盛りを甘くして四捨五入してほぼ平均約一人頭2センチあたり100グラムであり要するになぜかわからぬが結局問題でないのは事実がそこにあるからで他方考えてみればさらに重大なことであはあるがあるがさらに重大なことが導き出され岩沢と石本の進行中の実験に照らし照らしてみるとさらに重大なことが導き出されたというのはさらに重大なことが岩沢と石本の中絶した実験に照らし合わせて野でも山でも海岸でも小川の岸でも水辺でも火のそばでも空気は同じで地球はすなわち空気と空気と地球は厳しい寒気によって空気と地球はきびしい寒気によって残念ながらその第七紀において石のすみかとなりサンドスターと地球と海は深いところも石のすみかとなりきびしい寒気が海上にも地上にも空中にも繰り返せばなぜかわからぬが狩りごっこにもかかわらず事実がそこにありなぜかわからぬが繰り返せば先へいけば要するに結局残念ながら先へいけば石のすみかなんぴともそれに疑いをさしはさみ得ず繰り返せばしかし即断すべきではないのであって繰り返せば頭蓋骨は同時に平行的に矮小化しなぜかわからぬが狩りごっこにもかかわらず先へいけば髭炎涙石は残酷な天使のように残念ながら頭蓋骨頭蓋骨頭蓋骨頭蓋骨ニコニコちほーにおいては狩りごっこにもかかわらず中絶した未完成の労作はさらに重大な石要するに繰り返せば残念ながら中絶された未完成の頭蓋骨頭蓋骨ニコニコちほーにおいては狩りごっこにもかかわらず頭蓋骨残念ながら石萬田萬田……」

 

フェネックとアライさんははじめ意識を集中しているがやがて抗議をはじめ、プリンセスの苦悩は増大し、いらだち、二人の抗議に立ち上がり、綱を引く。

三人はフルルとラッキービーストに飛びかかるがフルルはぼんやりしているしラッキーは言葉をわめき続ける。

 

フルル「ふるるー」

ラッキー「……狩りごっこ!……石!……残酷な天使のように!……萬田!……未完成!……」

プリンセス「フルルのリボンを!」

 

フェネックはフルルのリボンを引き抜く。

フルル、「ふるるー」と倒れる。

偉大なる沈黙。勝利者たちのあえぎ。

 

アライさん「かたきを討ったのだ」

 

【つづく】

 

 

ゴドーを待ちながら (白水Uブックス)

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